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Movable Type 4 の開発と、ベータテスト、オープンソースについて

こちらの技術情報提供ブログでは、Movable Type 4 の新しい機能についてお伝えしていますが、今回はMovable Typeがどのように開発されているのかと、Movable Type 4 のベータテスト、オープンソースなど今後の方向性について書いてみたいと思います。

Movable Type はこんな風につくられています

まず意外かもしれませんが、「 Movable Type 日本語版 」 というソフトウェアは存在しません。Movable Type はソフトウェア自体が完全に国際化されていて、ソースコードも一つのブランチで管理されています。ただ、実際にインストールして利用する際には、自分の国の言語がデフォルトで選択されているほうが便利なので、コンパイルオプションとして、デフォルトの言語設定を選べるようになっています。

そして開発チームという意味でも、米国、日本という区別があるわけではなく、ワールドワイドで一つのチームとして開発をおこなっています。これにはプロダクトの企画段階も含まれていて、今後のプロダクトの方向性なども、米国、日本の区別無く、チームのメンバー全員が積極的に検討プロセスに参加することが求められます。日本に常駐しているメンバーも、ワールドワイドで共通の開発環境や社内システムにアクセスして、wiki上での企画提案、コードのレポジトリへのチェックイン、バグトラッキングシステムへの報告とバグ修正などをおこないます。 またIRCやチャット、定期的なビデオ会議などで頻繁にコミュニケーションしています。

今回の新バージョン Movable Type 4 の開発にあたっても、開発のタスクは順次、各メンバーにアサインされ、日本に常駐しているメンバーも、Movable Type 4 のコア部分の多くを開発しています。そのなかには、Movable Type を国際化する実装も含まれます。つまり、Movable Type の英語版を、日本語にローカライゼーションするわけではなく、国際化されたソフトウェアを、ワールドワイドで同時に開発しています。

しかし、世界中のチームメンバーで共有されている最大のモノが何かと言えば、それは間違いなく「さらに素晴らしいブログ・ソフトを作りたい」という気持ちです。現在のMovable Type の開発チームに参加しているメンバーは、ほぼ全員が個人ブロガーでもあります。「より便利なツールを使いたい」、「自分が理想とするブログツールをつくりたい」、各メンバーが並々ならぬ思い入れを持っていることもあり、たった一つの文言を決めるだけでも、「そこに、そこまでこだわりますか!」と思わずツッコミたくなるほどアツい議論が交わされることもあります。Movable Type 4 は、まさにそのような議論の中で形作られているソフトウェアなのです。

ベータ・リリースについて

このようなグローバルな開発チーム体制は、迅速な開発と、フィードバックの素早い反映に活かされており、Movable Type のベータ版公開も米国と日本で同時期に開始することが可能となりました。日本の皆様からいただきましたベータ版へのフィードバックも、バグ修正などで対応できるのもは、毎週のベータリリースに盛り込めるように、開発タスクにリアルタイムに反映されています。特に今週リリースされた最新ベータ版では、日本語化ファイルも含まれていますので、ぜひ積極的にベータ・テストにご参加いただければと思います!

Movable Type 4 ベータリリースについて

バグのなかでも、特に日本語環境や、特定のレンタルサーバーの環境などでおきる問題などは、コードの品質を高める上で非常に参考になりますのでレポートをお待ちしております。また、バグ報告以外のフィードバックや機能要望なども、こちらはすぐに反映することは難しいかもしれませんが、今後の開発の参考とさせていただいています。

オープンソース・プロジェクトについて

現在ベータテスト中の Movable Type 4 は、基本アーキテクチャやユーザーインターフェースが新たに刷新されたメジャー・バージョンアップになります。このような大きなバージョンアップを、ベンチャーという限られたリソースの中で実現するには、チームメンバー個々人の積極的なコミットが必要になります。それぞれのブログへの想いをモチベーションに、まずはこのMT4を、プロダクトとして正式にリリースすることが最大の目標となっていますが、同時にもう一つのプロジェクトが現在準備中です。それがオープンソース版のMovable Typeの公開です。

Movable Type のオープンソース版は、これまでMovable Typeとは異なる領域への、新たな挑戦となります。まず、誤解のないように定義しますと、Movable Type 4 と Movable Type オープンソースは、別のプロダクトとなります。もちろん多くの部分は共有されることになるかと思いますが、それぞれのプロダクトは、異なる目標をもっています。

Movable Type 4 は、すでにベータ版に搭載されているように、ブログ記事以外のWEBページ全体を管理する機能や、複数ブログのアグリゲーション、高度なユーザ管理など、様々なビジネスシーンやエンタープライズ用途をサポートするために、大幅な機能強化を実現しています。今後のベータや、あるいは4.0リリース後の継続的なバージョンアップによって、これらの機能をさらに拡充していきます。また、そのなかの大きな柱として、これまでMovable Typeをビジネス・シーンで活用いただいているProNet を始めとする、多くのWEBディベロッパー様が、より効率的に自社ソリューションを開発できるように、機能パックなどの新たなシステムを導入していきます。

Movable Type を導入することで、新しいビジネスやコミュニケーションが生まれる、あるいはこれまで大きな手間がかかっていた企業サイトの管理の手間を大幅に改善する、などなど、商用プロダクトとしての価値を認めていただけるように、開発の手を緩めることはありません。また、すべてのブロガーの皆様に最先端のツールを使っていただきたいという、これまでと変わらないポリシーのもと、個人無償ライセンスを提供させていただくことで、個人ブロガーをサポートしていきます。なぜなら、Movable Typeの開発メンバーが、それをもっとも必要としているブロガーでもあるからです。

Movable Type は、ブログの可能性を信じる多くの人々によって支えられてきたソフトウェアです。沢山のフィードバック、多様なプラグイン、多くのブログや書籍で公開されているインストールやカスタマイズの解説、無償で提供されているブログのデザインなど、Movable Type を囲むエコシステムこそが、Movable Type を Movable Type たらしめているエネルギー源です。

その中で、Movable Typeのオープンソース版は、新たな領域へのチャレンジとなります。Movable Type のオープンソース版ではGPLライセンスが採用される予定です。GPLライセンスのもとでは、すべての開発成果は、参加する全員でシェアされます。Movable Type のオープンソース版の詳細や、具体的な公開次期(3Qを予定)はまだ決定していませんが、オープンソース版の方向性に関しても、コミュニティーの皆様のフィードバックを受けつつ検討していきたいと思います。現在のMovable Type の開発チームと同じく、そこでは国境も言語も、グループや部署も関係ありません。よりよいブログ・ソフトウェアをつくりあげたいというモチベーションに共感していただける開発者の皆様の参加をお待ちしています。

movabletype.org: Welcome to MTOS: the Movable Type Open Source Project

また、この技術情報提供ブログでは、MT4の進捗状況や、新機能の紹介など、Movable Type に関する様々な情報をアップデートしていく予定です。今後ともご期待ください。

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